政治経済 メノツケドコロ(積極財政)

一介のサラリーマンが、世相、政治、社会への考えを綴ってます。

資産所得倍増計画は格差倍増計画である!

みなさま、明けましておめでとうございます。

 

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

今回は、資産所得倍増計画は格差倍増だ!当たり前に貯蓄できる経済をめざせ!

というテーマでお話ししたいと思います。

 

本日取り上げる記事はこちらです。

www3.nhk.or.jp

東証大納会 岸田首相や証券関係者など 株価上昇を願う

 

年内最後の取引日に証券取引所で行われる大納会

岸田文雄首相が、現職総理大臣として9年ぶりに出席しました。

 

 

挨拶の中で岸田氏は、「来年は『資産所得倍増プラン元年』として、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進めていきます。官民一体となって、個人の証券投資を盛り上げていきましょう」

 

 

と述べたそうです。

 

この資産所得倍増プラン。

少額投資非課税制度であるNISAの永久化などが検討されており

確かに投資をしている人たちには恩恵があるのでしょう

 

しかし皆さん、安易にこの政策を支持して良いのでしょうか。

岸田氏は、労働者の賃金の下落を食い止める財政政策を打とうとはしていません。

 

そんな時に投資家を優遇するということは、格差の拡大を容認するということなのです。

その理由をご説明いたします。

 

 

・まず一つ目。

投資は余裕資金で行わなければならないというのが原則です。

 

こちらは家計の金融行動に関する世論調査からのデータです。

 

https://store.kinzai.jp/public/ext/freepage/2021kinmadotuiho.pdfきんざい 教育センター (「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」の調査結果より引用

 

ここでいう金融資産とは普通預金などを含み、運用や将来のために蓄えているお金のことです。

 

全世帯の16%の人たちはそうした資金を持っていないのです。

 

政府が投資に優遇措置を取っても元々運用する資金を用意できない方々はその恩恵に預かれないと言うことです。

現に余裕のある人は勢いづくけども、そうじゃなかったら放置。

本当に緊急で救わなければいけないのはその方達のはずなのに

格差の拡大が進むことは明白です。

 

 

・2つ目

投資の世界は、大きい資産を持っている人間が圧倒的に有利であると言うことです。

 

そもそも、運用している資金がある程度大きくなければリターンも細々としか得られないんですね。

多くの人は、仮に投資をしているとしても一日中取引画面に張り付くわけにもいかないので

長期の積立投資を行ったり、配当金の多い銘柄を買うなどの手法を使われることが多いと思います。

よくある投信積み立てでは、世界株式指数や日本株、米国株指数 に連動した投資信託が使われます。長期積立などですと、だいたい年平均4から7%程度の利回りが得られれば上出来である。そんな程度です。

しかも平均リターンなので、途中で生活の事情で解約してしまう人もいるはず。

そうなると、投資だけで一般の方の生活を楽にすることは難しいと思います。

もちろん意味があるのかで言えば大いに意味があるでしょう。

しかし、

 

平均の所得がこれだけ下がってしまっている今、4%程度の利回りで運用して生活が楽になると感じられるでしょうか。

 

所得が上がらないのをなんとか巻き返すとなると、リスクの高い個別株、先物取引、FXなどしか手段がありません。

当然それらは余裕資金を失わせてしまう恐れがありますから、結局損失を出し困窮する方も出てしまう。

 

一方で、多くの運用資金のある方は元本が大きいので、必要以上のリスクを取らなくても

十分なリターンを得ることができる。

こうした点からも、格差の拡大を推進してしまう危険性があると考えます。

 

そして3つ目

 

金融市場の優遇は、日本の経済停滞の大きな原因となってきたと言うことです。

 

日本は2000年ごろを境に、アメリカ流の株主資本主義を導入していきました。

 

簡潔に言えば、企業は株主の利益、それも短期利益を最大化するように運営しなければならなくなったのです。

 

例えば四半期決算の導入。

企業は、長期的な目線で成長するために先を見据えた投資を行う必要があります。

でもそのリターンが発生するまでに時間がかかることもある。

四半期決算が導入されると、短期で企業の資金の出入りを把握され株価がその度に上下してしまいます。それを防ぐには、できるだけすぐに効果のある投資しかできません。

つまり経営陣は、株価の下落のリスクを恐れ短期的な目線での経営成績しか追えなくなるのです。

これにより、目先の人件費カットや設備投資の減少を招いてしまいました。

 

他には自社株買いの規制の緩和。

企業の利益から、株主還元と称して自社の株式を買わせることで株価を上げることが推奨されてきました。

結果、せっかくお金があっても賃金には回りにくい状況が作られてしまった。

 

このように、金融取引を活発にしすぎた結果労働者の賃金が低下し日本経済が弱体化してきたのです。

 

その反省もないままに、資産所得を倍増させるなどといい金融市場に人々を参加させればどうなるでしょうか。

 

市場が活発になると言うことは、企業経営はより株主の目を気にして行うことになる。

今までよりも多くの株主優遇策が進み、労働者はさらに困窮する可能性が高いでしょう。

 

最後に4つ目の理由。

 

金融市場の不安定かを招くと言うことです。

 

国民を投資に誘導し多くの資金が市場に流れ込むと言うことは、金融市場に滞在している資金の量が膨れ上がると言うことです。

リーマンショックを思い出していただきたい。

住宅ローン債権の信用問題から一気に株価の大暴落まで突き進んだのはなぜかといえば、

金融市場にある資金量が大きくなりすぎ、一つの問題が発生すると連鎖的に資金が引き上げられ機能不全を起こす脆弱な構造になっていたからです。

売りが売りを呼び、金融商品の値段が一気に落ちていく。

 

その結果、不景気に突入してしまう。

 

不景気になると一体誰が困るでしょうか。

仕事がなくなり、蓄えることもできない一番弱い労働者が苦しむのです。

投資による利益を得ることもなく、割りだけ食わされる。

一方で金融機関は政府から救済措置を受け、経営陣も多額の退職金をしっかり受け取る。

 

これが起こったのがリーマンショック

 

金融市場を膨張させすぎると、結局弱い側が苦しんでしまうのです。

 

 

・運用資金のない人を見捨ててしまうこと。

・元本の大きい人間が過剰な恩恵を受けること。

・金融市場の優遇は経済を停滞させること

・金融市場の膨張は弱者を苦しまること。

 

以上4つの理由から、私は不景気のままの投資優遇措置には反対いたします。

 

 

何より大事なのは、

投資などせずとも将来不安がないくらいに賃金が上がることです。

 

消費税の撤廃、派遣雇用の規制の強化、一律給付金の複数回の支給など徹底的な財政出動を行い、

賃金が上がるのが当たり前、そんな社会を取り戻すことを最優先で取り組んでいただきたい。